けんこー農園には水道が無い
耕作放棄地を伐木~除根~笹の根やツルを取り除く開墾作業を経て作り上げた初めてのマイ畑!
まだ何の作物も植わっていないけれど三浦半島で見慣れた、あの畑の畝なのだ。そして初めてのマイ畝、マイ畑、土いじり、家庭菜園なのだ!何を植えるのも自由!
山に囲まれた横須賀のこの場所は広葉樹の葉がたくさん降り積もり、掘り返すと至る所にミミズ先生がいらっしゃる。開墾作業の時にミミズだらけでうっとおしいと思っていたこの虫は本を読むにつれて土壌改良の大先生だとわかる。あだやおろそかにはできないミミズ先生たちだ。
これから作物を植える。種蒔きにしても苗購入からの植え付けにしても水が必要だ。この場所は奥まったエリアで畑に使える水道がない。
雨任せにしようとも思ったが栽培できる野菜の種類が限られてしまう。
ゴーヤ、ナス、キュウリなど大好きな夏野菜は水が大好きらしい。まだ小さい畑だけれどもう少し広げていくと持ち運びの10Lタンクではあまりにも頼りない、毎回の持ち運びも重くて面倒くさい。屋根に降る雨水は水管に集まるので雨水タンクに貯めやすい。屋根なしの畑で雨を貯めることはできるのだろうか。
雨葉ネット「屋根などがない山中や畑で雨を集めます。」
「さてどうやって雨を効率的に集められるんだろう?」
「どんな容器に雨を貯めたら?」
「貯めたタンク内の雨水にボウフラがわかないようにするには?」
「容器から水をくみ取る?蛇口を取り付ける?」
「何リットルの容器で何日間の日照りに耐えられるのだろう?」
などと考えながらgoogle検索開始。
検索結果表示堂々とトップ表示に雨葉ネット。
ご両親が水運びで腰を痛めてしまったようで、水道の無い畑に水供給を何とかしてあげたい!という思いから開発した集水装置。
三角形の網状の生地で受けた雨を集めたり、木の幹に流れる樹幹流を受けて雨水タンクまで誘導したり。
森に囲まれたけんこー農園には樹幹流の集水が向いている。どの木を選ぶかが大事なので雨の日に畑へ向かった。
どの木を集水に選ぶか?樹幹を流れる水流に注目
降雨量1mm程度では木の集水力が分かりにくい。台風が近づき待ちに待った5-10mmの日を選んで畑へGO!
遠くから見て葉の茂り具合、隣り合った木との間隔、木肌の滑らかさなどを見比べながら選んでいく。
雨の降り方が徐々に強まってくる。
樹幹流の水量が分かりやすくなってきた頃に手頃な一本を発見!
茂った葉で受けた水が枝を伝わり、太い枝に集まる。三又に分かれたどの幹にも樹幹流が流れ、根元までしっかりと雨水が下りてきている。これだ!
雨葉ネットの樹幹流集水装置は雨水タンクまでの誘導紐が140cmと記載されている。設置する雨水タンクをイメージして取水装置をセットする幹の高さからの距離を測ると200cm弱。うーん、さすがに距離があり過ぎてせっかくの雨水を誘導しきれないかもしれない。
雨葉ネットの「お問い合わせ」でメールするとすぐに返事が返ってきた。素晴らしい対応!
実験では150cmまでしか試したことが無いとのこと。そして幹の太さが市販で用意されているサイズを上回っていることも判明。
傾斜地への雨水タンク設置も検討しつつ自作の集水装置でまずは試してみることにしよう。
200L雨水タンクが福岡からやってきた。雨水集水装置設計図作成。
「雨水タンクのお値段、高過ぎ!」
色んなタイプの雨水タンクが販売されているものの、数万単位で予算をはるかにこえる価格。もしかしたらと調べてみた居住地の補助金も雨水タンクは対象外。
メルカリで中古品でもないものかと検索したところ手頃なものが目に入った。
どうやら液体の食品輸入に使われた容器らしい。コンテナ輸送に使われる容器なので密封度、強度、耐性は充分のようだ。オプション料金で穴あけ作業や蛇口も取り付けてくれる。蛇口はプラスチック製ではなくよく見る金属性のものだ。
数度のやり取りに気持ちよく対応してくれた出品者から送られてきた濃いめのグレーの雨水タンク、「かっこいい!」好みの色と形だ。
ではいざ設置作業へ。
雨水タンクが届くまでに作成した設計図はこれだ。
集水布は捨てる予定の古いテントから切り取った生地。防水なので流れ落ちる樹幹流を無駄なく拾って雨水誘導ロープへパスできるはず。
受け取った雨水はロープよりも平たい生地のほうが効率が良いのでは? ロープの代わりに幅2cmの荷締めバンドをそのまま利用する。
雨水集水装置とタンクの設計図
伝ってきた水を受ける雨水タンク中央部には5cmの穴あけをメルカリ出品者に500円オプションでお願いした。蚊が入ってこないように網戸生地を切り取って蓋の内側からビニールテープで貼り付け。
直接穴に入らない水も雨水タンクの蓋のヘリのおかげで蓋上部に一時的に溜まり、集水穴へ誘導できる。
雨水タンクの設置作業開始
- 傾斜地への雨水タンク設置のため、単管で台座を作る。タンク内を見るために台座は広めに作成。
- 雨水タンクを台座に設置して荷締めバンドで固定。
- 木の幹に荷締めバンドで集水装置を取り付ける。
- 雨水タンクへ雨水誘導の平バンドを引っ張り込み、雨水が落ちるバンド先端を集水穴の位置にくるように調整。
雨の日!樹幹流集水装置を検証。
梅雨明けに設置したためなかなかまとまった雨が降らない。10Lタンクに水を入れて運ぶ日々が続くが、ついに雨雲がやってきた!
いそいそとレインコートに着替えてけんこー農園に向かう。
雨水タンクに近づいて確認、しっかりと雨水を受け止めている!!
麻紐をより安定するゴムバンドに変えて雨量の増えた日に再検証に向かうと、蓋のへりからオーバーフローするほどの雨、集水効果抜群、木の選定も良かったようだ。
銅板で雨水タンク内のボウフラ予防対策
雨水タンクの取水口は網戸の生地で覆っているものの、ちょっと水があれば蚊は卵を産み付けてしまう。雨水タンク内への蚊の侵入は防ぐことができても卵の流入は防ぐことができない。
銅板を入れておくとボウフラが発生しても孵化できないという文献を見つけた。
ボウフラのいる水面に銅板を浮かべるため、タッパーに銅板を張り付けて雨水タンクの中に浮かべておく。
雨水タンクの完成、充分な水も確保したので水やりの大好きなキュウリを農園に植え始めよう!