「浜辺でたっぷり遊んだら、焚き火をおこして飯を食おう」
が、我々、浜宴会仲間のポリシー。
しっかり遊んだほうが酒もメシも旨い。魚付きは狩猟本能を満たしてくれる遊び。大物が獲れれば、すぐにその魚を調理して獲れ立ての醍醐味を味わう。獲った本人はその日の浜宴会で酔っ払いながら鼻高々と獲物自慢ができる。
それぞれが釣具店やダイビングショップで購入したり、自作した自慢の手銛を持って海に飛び込む。カサゴ、メバル、石鯛やタコを探す。
万年炊事当番のオレは海から上がった後の調理時間を考慮して、早々に海から上がり、七輪に木炭の火を熾す。今日の料理はみんなの漁獲の他、鉄砲撃ちの古川さんが冬の猟期に獲っておいてくれた鴨がある。
急いで海水をタオルで拭き取る。手銛、フィン、マスクを手早くまとめたらクーラーボックスへ直行。午前中からよく冷えた缶ビールのプルトップに爪をかけて、ぶしゅっと開ける。
海に潜ったせいか水分不足気味の身体に開けたての缶ビールが染み入る。一気に半分ほどをごごっと喉に流し込む。風呂上りのビールもいいが、海上がりの真夏のビールはもっといい。そしてビールを飲みながら鴨を丸ごと捌くのだ。
鴨は毛をむしって頭も落としたものを真空パック詰めにしてくれている。すぐに調理開始できる食材はありがたい。
まず、胸肉を中心に沿って両側へ切り開きながら外す。次に、ササミ・腿肉・手羽と切り進み、内臓も海水で血を洗い流して心臓(ハツ)・肝臓(レバー)・砂肝と、焼き鳥屋でお馴染みの部位に切り分ける。砂肝はその名の通りで、中に砂が詰まっている。固めの肉質を抑え込んで半分にカットし洗い流して準備オーケー。