七輪の構造が分かれば炎を自在に操ることができるのだ。
BBQ初心者の方にも、バーベキューコンロを愛用しているあなたにも。イラスト画像付きで七輪の構造と使い方を紹介。キャンプや花見のアウトドアクッキングで燃費の良いエコな七輪を試してみませんか。
七輪の種類 珪藻土と練り製
七輪とは珪藻土を原料に作られた火鉢のこと。日本人にとって最も古くから愛されている調理火器で、干物と抜群の相性。いまでも伊豆の海岸あたりを走っていると多く見かける干物の土産屋では、七輪で焼いたアジやサバを試食させてくれるのだ。ガスコンロでは燃焼時に水分が出るために干物をパリッと焼くことができない。七輪の木炭による加熱で、干物の水分がほどよく抜けて、表面はぱりぱりに焼きあがり、遠赤外線で芯まですばやくしっとり焼きあがる。七輪で焼く干物が本当にうまい理由がここにある。
では珪藻土って何?珪藻土とは藻類のプランクトンが死んで海底に堆積して固まった土。もっと簡単に一言で言うと、「密度の高い、断熱性抜群、軽い天然の土の層」だ。珪藻土の層に穴を掘り壁側から七輪サイズの塊りを削りだす。その塊を切り出して七輪の形に削り出すと「切り出し七輪」。珪藻土を切り出して成型したものを「練り製七輪」と呼ぶ。
完全に手工業で作られる切り出し七輪はもちろんそれなりの値段。それでも丁寧に扱えば何年もの使用に耐える丈夫な七輪だ。
とりあえず試してみたいなら近くのホームセンターで探してみよう。安価な練り製の七輪が1~2種類売っている。壊れやすいので店頭でヒビが入っているのを見かけたこともある。全体を見回して、底も確認してから購入しよう。
形は丸いものから長方形のものまで揃っている。食材に合わせて選べば良いがアウトドアで野外料理に使うには何かと丸いタイプが良い。色んな調理に応用できるのだ。
七輪の構造(断面図)
七輪は右の断面図のような構造をしている。上部に向かって緩やかに開いた円筒だ。下には数センチの送風口がある。送風口には金属の扉があり、開け閉めすることで火力が調整できる。
煙突の形状をしていると着火時の空気は送風口から上に向かって流れる。七輪に取り込まれた酸素は炭火を強くし、断熱性の高い珪藻土から熱が放射されることなく食材を一気に加熱する。
炭火の火力はすぐに反応しないので、送風口の扉の開閉による火力調整は余裕を持って行う。
七輪の火のおこし方(木炭の着火方法)
上の七輪断面図のとおり、七輪の下から3分の2のあたりで、炭をのせるための火皿がとまるようにできている。送風口から入る風を火に充分に送り込むためでもあり、七輪の底が熱くなるのを防ぐ。下から酸素を吸いこみ、上に流れる構造を利用して簡単に七輪での火のおこし方をマスターできる。
- 七輪に火皿をセットする。
- 1~2個の木炭を置き、着火剤をのせる。文化焚き付けがおすすめだ!
- 着火剤に点火したら数個の炭を重ねる。
このときに木炭に充分な隙間をつくることがコツだ。送風口から入った酸素が充分に行き渡り、重なり合った炭が煌々と燃え上がるまで20分もかからない。そう、七輪そのものがファイヤースターターの役目を果たすのだ。
七輪の灰の捨て方(炭の片付け方)
七輪の送風口の扉の溝には灰がたまりやすく、扉の開閉がしにくくなってしまう。七輪での調理が終わり、木炭の消火をしっかりと確認する。灰を捨てるときに送風口に灰が流れ込まないように、七輪の送風口を上に向けながら灰を捨てること!重要!
火力の調整が自由な七輪
七輪がバーベキューコンロよりも優れている点はその火力調整にある。炎を自在に操って様々なアウトドアクッキングに挑戦しよう。
弱火
焦げやすいバーベキュー食材の加熱には弱火の遠火が向いている。魚の干物やはんぺんなどを焼くときに。
七輪の送風口を閉めるか、わずかに空ける程度。炭の量は七輪の中ほどまで。
中火
鍋物や厚みのある肉をじっくり焼くときに。 炭は七輪にたっぷりと。送風口は若干開けておく。開け閉めして調整してもよい。
強火
焼肉にはこれだ!一気にカルビなどのうまみを閉じ込めて肉汁たっぷりに焼き上げる。送風口はフル開放。
さらにダッチオーブンをのせて使ったり、湯を沸かすときは送風口を風上に向けて充分な酸素を取り込む。団扇で上や送風口から空気を送り込めば、温度は1000℃近くにまで上がる。
物が燃える三大要素。燃えるものと温度と酸素。その酸素の量で火力を調整する。上のイラスト画像のように炭が細かくなり、灰や炭の燃えカスが火皿や七輪底部にたまると火力は一気に落ちる。一度炭と火皿をトングで取り出し、七輪をひっくり返してきれいにする。
温度が充分なので、残った熾火にあらたに炭を加えればすぐに火力は復活する。